ノリ冒険記自伝〜シンガーソングライターが夢だった🎸

シンガーソングライター🎸を目指す少年〜中年までの人生冒険記

シンガーソングライターが夢だった🎸第110章

1994年4月20日

 

遂に運命の日がやってきました。

 

荒川橋は大学からバスで駅方面に向かう途中に

ありました。

コブラックメンズと癖毛、バタアシメガネ、私は

荒川橋に程近いバス停で少し重い足どりでバスを

あとにしました。

橋の辺りは、いつも川の影響もあり少し風が強く

春の風はまだまだ私たちをさらにヒンヤリとさせてきました。

 

少し早めに大学を出て来たので、時計の針は

集合時間の30分前の13時半を指しています。

 

いつもお喋りな、デコブラックメンズのゲルシノも世界のセキヤマも言葉少なです。

こんな時、意外に癖毛やジャンガラメガネが気を回して、どうでもいい話を見繕って話し、その場の空白を埋めようと頑張ってくれています。

 

荒川橋の袂にたどり着き、自然と男7人が輪になった時、私は言いました。

 

今日集まってくれる新入生には、俺から説明します。100パーセント我々が悪いので、誤魔化さず正直に説明をして、しっかりと謝ります。

 

みんな言葉少なに頷いていました。

軽い気持ちで始めた新サークルレインボーブリッジの活動は、新歓コンパを抜けば、最初で最期の活動がこれです、、、

新入生への大変申し訳のない気持ちと、もうひとつのサークルの仲間への気持ち、また新しいサークルを続けたかったという気持ちなど、様々な思いが心の中でグルグルと嵐を巻き起こしていました。。

 

そんなモヤモヤと戦っていると、橋の上から新入生らしき女子が我々に向かって歩いて来ています。

目を細めてみると人数は8人くらいでした。

前回11人だった中から8人が来てくれたのでしょうか。

 

彼女らが近づいてくると、変態が一気にテンションを上げ彼女らを明るく迎えました。

こんにちわー!

みんなきてくれたんだねぇ〜。ありがとう!

それに追随して、ゲルシノ、デコッパチ、セカセキが

舞台俳優のような、少し大きなパフォーマンスで明るく振る舞い彼女らを迎えました笑。

 

私はちゃんと伝えなきゃ、、、っと内心ドキドキしながら、無理矢理の硬い硬い笑顔で迎えております笑。

14時前なので、太陽は最高潮に達しようとしていましたが、そんな紫外線も気持ち少し冷たい春の風に押されてしまっているようです。

今の我々の心の様に。。

 

ひとしきり、ご対面の挨拶や軽い会話がすんだ頃に

鼻を効かせた変態ヨツマタが切り出しました。

 

ハイ!とりあえず新入生と我々で向き合おう!

この号令に自然と新入生、我々の空気が引き締まり

、程なく皆んなが綺麗に分かれ向かい合い整列しました。

今からレインボーブリッジの初めての活動を始めます!ですが、皆さんにお伝えしなければいけない事がございます。。

 

ではまっちゃん宜しくお願いします!

 

ハイ、、、

 

私は綺麗に整列している線から一歩だけ前に出て深くお辞儀をしました。

私がかなり丁重にお辞儀をしたもんですから、新入生たちはえっ?という感じです。。

 

レインボーブリッジ新入生の皆さん、今日はわざわざお集まり頂きありがとうございます!

先日の新歓コンパは本当に楽しかったです。

重ねてありがとう。

 

今から私が代表して皆さんにお伝えしなければならない事があります。

堤隠さず正直にお話しさせて頂きます。

 

大変申し訳ございませんが、レインボーブリッジを今日で最後にしなければならなくなりました。。

大学に入られて、初めて勇気を振り絞って参加頂いたサークルですよね。。本当に申し訳ございません。。私はここで深く、そして長く頭を下げました。

少し後ろに立っている皆んなが同じように頭を下げて、それぞれにすいませんでした!っと謝っています。。

だいぶ経って頭をあげると、新入生たちは怒るというよりも、まったく想像もしていない結末に、唖然として声も出ない様子です。。

 

そして私は話を続けました。

 

すいません!驚きますよねっ。。

このサークル辞めなければならない理由を申し上げます。

我々は元々〇〇テニスサークルに所属しています。

我々はそのサークルのメンバーに内緒で、このレインボーブリッジを立ち上げてしまいました。

先日サークルのメンバーにレインボーブリッジの存在を知らまして、レインボーブリッジの活動は認めないという結論を頂きました。

本当に申し訳ないのですが、そのサークルもそのメンバーも我々は大好きですし、家族みたいな仲間です。

だから皆様を本当に裏切るかたちになってしまいますが、このレインボーブリッジを解散するしか方法はありませんでした。

 

本当に申し訳ない、ごめんなさい。。

 

入学して間もなく、勉強やサークルなど色々と時間のない中で、決めていかなければならない貴重な時間を無駄にしてしまった事が、我々一堂てしても一番申し訳なく思っており、反省しているところです。。。

 

以上ですが、皆さんから何かご質問があれば、いくらでもお受けします!すいません。。

 

私は8人の新入生を1人ずつゆっくり見つめました。みんな少しうつむいたまま、特に意見はなさそうです。。

 

デコッパチが叫ぶように言いました。。

本当に申し訳ない!

重なるように全員が口々に頭を下げ、大声で叫びました。。

この光景を近場で見ていた、野球少年はどうみていたのでしょうか。。

大人の男たち7人が、大人の女8人に全力で頭を下げて下げて、謝っているのですから。。

そんな光景なかなかみれるものじゃないですよね。。

彼らはそんな大人にならない事を願いつつ笑。。

 

我々の真剣みが伝わったのか?彼女らが何枚も上手なのか?最後はみんなで1人づつ握手を交わし合いました。

 

しかも私たちの事は気にしないで、頑張ってください!っと、慰められる有様です。。。

 

ほんとに、、、情けない笑、、、

 

クソエロゲルシノ、クソデコハゲッパチ、クソ変態ヤツマタ、世界で1番ダメなクソヤマ、クソ癖毛、クソサキバシリメガネ、クソエロデカッパナクソヤロウのクソ7人が河川敷にいとも悲しく立ち尽くしています。。。。。

 

そんなクソな我々も彼女らが、彼女らにとって一番の幸せな場所を探しだし、素晴らしい大学生活を過ごして欲しいと、それぞれに伝えました。

 

我々は河川敷に立ったまま彼女らを見送りました。

彼女らが見えなくなっても、いつまでも立ち尽くし

手を振っていました。。

 

短いあいだだったけど、ありがとう。

心の中で呟きました。

 

その後、ゲルシノ邸で涙の酒盛りが行われたのは、

いうまでもありません、、、

 

ガゼルクソメガネも結構深酒な夜だったとさっ