シンガーソングライターが夢だった🎸第18章
昨日の面接に満足したのか、珍しく良く眠れました。時計の短い針はもう10を指していました。
明日までには、合否の連絡があるはずです。
今日は火曜日ですが、大事な面接からの今週末の土曜日は人生初ライブが控えています。
メガネ屋を退職してからは引き篭もりがちだったので、私にとってはひな祭りとハロウィンとクリスマスが同時に来たような一週間となりました。
のらりくらり生きてきた私にとっては、刺激のありすぎる日々ですわ。
そんなことをボーっと考えていると、夕方4時頃に電話が鳴りました。あっ!まさかっ化粧品メーカーからかっ。
すぐに私はいつもより500倍丁寧に電話をとりました。心臓バクバク、手は気持ち震えていました。。
案の定化粧品メーカーの人事の方からでした。
ノリさんですね。はい!一次面接を通りましたので、明日2次面接に来られますか。はい!もちろんお伺いさせて頂きます!それでは明日1時にお待ちしております。はい!宜しくお願い致します!
失礼致します!
やったー!無事一次面接を通過しました!
あの良い感触は嘘じゃなかったんだ。
明日最終面接かー。今週は濃すぎるやろー。
人生の岐路って、こういう時の事を言うんでしょうか。
就職と音楽という、私の大切なふたつの事が大きく動こうとしています。
面接当日の朝です。
役員面接か。何を聞かれるんだろ。私は化粧品の知識もないし、突っ込まれたらアウトだな。
でも私の強みは商品が何であっても売る力とコミュニケーション力です。
ブレずにしっかり強みを伝えよう!
いつものJRに揺られて、いざっ東京へ!
小さい頃から何度も見てきた、流れる景色を眺めながら色々な想い出が走馬灯のように頭を駆け巡りました。
父と母に連れられていた幼少時代、少しオトナになった高校時代、悲しき浪人時代、調子に乗っていた大学時代、彼女とのデート、テニス、友人との遊び、飲み会などなど、いつもこの総武線にお世話になったな〜。悲しい時も嬉しいときも、いつだって変わらず乗せてくれた。寒い時は足の下から暖かい風を送ってくれた。
ドキドキとワクワクでかなりセンチメンタルになっている私です。。
気づけば本社に着き、面接室の前の椅子に通されました。面接室前の前に並べられた椅子には、誰も座っていません。1時丁度だから私が一発目なのでしょうか。
まずは深呼吸。
ボルテージは最高潮!
やるしかないぜっ!!
その時人事の方がノリさん中へどうぞっ。と伝えに来ました。はい!
今まで生きてきて、最高に歯切れの良い、かつ優しいドアノックをしました。コンッコンッ。どうぞー。
ノリです。失礼致します。深々と45度のお辞儀をしました。
部屋の中には一次面接で面接頂いた白髪の優しげな方と若干怖そうでオーラが半端無い役員らしき方が2人で迎えてくれました。
負けるなっオレっ!役員らしき方のオーラにかなり押されながらも、気合いで前を向きました!
志望動機や化粧品のことは聞かれることはなく、前職の仕事振りや、学生時代取り組んだことなどを聞かれ意気揚々とブレずに自分の強みである売る力やコミュニケーション力を力強くプレゼンしました!
ですがっ、オーラ全快の役員の方が私の履歴書を鋭い目で見ながら〇〇大学かー。キミは浪人してるんだね。ハイ!二浪しております!グサっ。。ヤバイ!
私の一番弱いところを攻めてきた。二浪もして、二流大学って見破られてる。表情にすら出さなかったですが、、私の頭は真っ白になりました。。
ここまでなんとか上手くすり抜けてきたのに、やはり学歴で落とされるのかっ。。
それでも私は最後まで堂々と振る舞いました!
人間、勉強だけで判断されてたまるかっ!
もうっ、雑草魂というか意地ですね。
ブレない自分を貫き通し、深々と頭を下げて面接室を後にしました。
面接内容に対する返答はパーフェクトだったはずですが、学歴でアウトとはっ。
まぁ確かに私が面接官でも一流大学の人にはプラスの評価をしてしまいますし。そのための大学受験ですしね。
家路では冷静に自分の気持ちを切り替えるモードにシフトしていました。
帰ったら次の候補企業を絞ること、土曜日のライブの最終準備などです。
会社なんて星の数ほどある。ライブが終わったらまたゼロから受けまくるぜっ!
失恋した時と同じ感覚ですな。
化粧品メーカー勤務ノリは夢と散ったな。。
ここで第18章はおしまい
第19章につづく
ノリ冒険記より
愛をこめて